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世界よ、これぞ真のポータブルゲーミングPCだ。「GPD WIN Mini 2024」レビュー

GPD WIN Mini 2024

 GPD Technologyが放つ7型のポータブルゲーミングPC「GPD WIN Mini 2024」は、コンパクトながら高性能を実現したWindows搭載の携帯型ゲームデバイスだ。すでに発売中となっており、直販価格はメモリ32GB/ストレージ512GBモデルが14万8,000円、32GB/ストレージ2TBモデルが16万9,800円となっている。

 「GPD WIN」シリーズは、小型サイズでありながらゲーミングに特化し、ゲームコントローラを備えたUMPCで、常にゲームができる環境を手元に置いておきたいユーザーに支持されてきた。大胆にハードウェアキーボードを省いた製品が多数登場する中、頑なにハードウェアキーボードの搭載を維持、その一方で軽量さも兼ね備えており、持ち運びに優れていることが特徴であった。

 Kaby Lake-Yを搭載した「GPD WIN 2」まではクラムシェル形態を採用していたが、「GPD WIN 3」と「GPD WIN 4」で大胆にもスライダー形態に移行し、クラムシェル形状は姉妹モデルとも言える大型の「GPD WIN Max」シリーズに託された。スライダー型は電源をつけて即座にゲームの世界に飛び込めるが、液晶やジョイスティック部分の保護が課題となったほか、コントローラがディスプレイ左右にあることでフットプリントの増大は避けられなかった。

GPD WIN Max 2との比較。大きさはおよそ半分強

 こうした使い勝手の違いをGPDも認識したのか、改めてクラムシェル型の「GPD WIN Mini」なるデバイスを2023年に投入した。そしてその2024年モデルは、CPUを進化させるとともに細部を改善したものとなっている。それでは早速見ていこうと思う。

改めて2023年モデルとの違いを見る

GPD WIN Mini

 実はスケジュールが合わなかったため、PC Watchは初代GPD WIN Miniとなる2023年モデルをレビューできなかった。そのためまずはGPD WIN Miniの特徴についておさらいしておこう。ポイントでかいつまんでおくと以下に集約できる。

  • Ryzen 7000シリーズを搭載し、内蔵GPUを生かした高いゲーム性能
  • 7型のクラムシェル型、ズボンのポケットに収まるサイズ
  • 重量わずか520gの軽量性
  • ホール効果センサー採用のジョイスティックでドリフト効果/デッドゾーン軽減
  • 500cd/平方mと明るく、120Hzと高速なリフレッシュレート
  • ほぼPCI Express 4.0 x4直出しのOCuLinkを搭載し、eGPUと高速に接続

 こうした特徴があるわけだが、GPD WIN Mini 2024では以下のような変更が行なわれている。

GPD WIN Mini 2024の重量は実測で529gだった

OCuLinkの省略

 GPD WIN Mini 2024では、従来モデルに搭載されていたOCuLinkが省略され、代わりにUSB 3.1が1基搭載された。

 OCuLinkはPCI Express 4.0 x4のバスをほぼそのまま外に出す規格であり、USB4と比較して帯域幅(40Gbps対68Gbps)が広く、変換によるボトルネックの少なさが特徴であった。ほぼ同時期にリリースしたeGPUドッキングステーション「GPD G1」も、このOCuLinkを備えており、USB4接続時よりも性能が出ることをアピールしていた。

 一方でその特性上、ホットプラグができず、着脱の際には電源をいったん落とす必要があった。また、ケーブルも長いものが用意されておらず、シールド対策のため太くて取り回しがしにくかった。7型という機動性がウリのデバイスにとって、そのメリットを大きく削ぐインターフェイスであったことは否めない。これをバッサリ切り捨て、より使い道が多いUSB 3.1に変更したのはある意味賢明だ。

GPD WIN Mini初代にあったOCuLink(microSDカードスロットの上)。これが今回USB 3.1となった

ネイティブランドスケープ液晶

 初代GPD WIN Miniでは120Hz表示に対応したフルHD(1,920×1,080ドット)表示対応の7型液晶を備えているのが特徴であったのだが、ネイティブではポートレートとなっており、つまりは1,080×1,920ドットであった。この液晶をドライバでソフトウェア的に90度回転させて表示する仕組みだった。

 小さいサイズの液晶ディスプレイはタブレットやスマートフォン向けに準備されたものが多く、GPD WIN Miniではそれを採用しているため必然的にそうなったのだが、Windowsゲームとの相性は悪い。ボーダレスウィンドウのフルスクリーン表示に対応した近代的なゲームでは問題ないのだが、排他的フルスクリーン表示しかできない昔のゲームなどでは正しく動作しないためだ。

 また、Windows PCではディスプレイとの接続にeDPを採用することが多く、これはCPU内蔵GPUで問題なくサポートされているのだが、タブレットやスマートフォン向けの液晶は、そちらのCPU内蔵GPUと相性がいいMIPIと呼ばれるインターフェイスを採用している。このため初代GPD WIN MiniではeDPからMIPIに変換するチップを実装していた。当然、この変換チップも電力を消費する。

 GPD WIN Mini 2024で採用されたネイティブランドスケープ液晶は、ROG Allyと同じものになったという。これにより従来と同じフルHD/120Hz、そして可変リフレッシュレート(VRR)対応というスペックを維持しながら、ゲームの互換性が大きく向上し、変換チップを省くことで省電力化も実現した。これは、レトロゲーマーに歓迎されるべき仕様変更だろう。

液晶はネイティブランドスケープになった。余談だが、旧モデルから1mmほど上側に寄った設計となった

エルゴノミクスデザインと操作性

 続いて本機のアイデンティティでもあるコントローラ、キーボード、タッチパッドについて見ていこう。

 コントローラ部で注目すべきなのは、ホール効果ジョイスティックの採用だ。これはGPD WIN Max 2でも採用されたものだが、デッドゾーンがなく、ゲーム中の微細な操作にも対応する。これにより、精密なゲームプレイが可能になるとされている。実際にこのジョイスティックで「Euro Truck Simulator 2」をプレイしてみたが、確かに謳い文句通り絶妙なハンドル操作が可能であった。

 ジョイスティックの感触だがかなり軽い部類だ。筆者としてはもう少し抵抗があるジョイスティックのほうが、より精密な操作が可能だったのではないかとは思う。ただ、抵抗が高いジョイスティックは長時間のプレイで指が痛くなることがあるので、ここはトレードオフだ(逆に言えばGPD WIN Miniは1時間程度のプレイで疲れることはない)。アナログトリガーに関しても同様に軽快な印象で、先述のEuro Truck Simulator 2でもちょっとLTを引いただけでググッとトラックが止まる。

コントローラ左部分の拡大
ジョイスティックのストロークは浅めなので、反応はクイック
アナログトリガーを採用しているため、レースゲームなどではアクセルの開度やブレーキの踏み具合を再現できる

 各ボタンに関しては本体サイズゆえにサイズも小さいが、十分な面積が確保されており、不満は特になかった。

 ただ、各ボタンやスティックの感触よりも、そもそも本体が持ちやすいかどうかを討論すべきだろう。まず本体重量についてだが公称値で520gとされており、これに関しては何ら不満はない。しかし左右のエッジからジョイスティックまでの距離が短く、筆者のような手が大きめの男性なら、プレイできなくはないものの、窮屈に思うかもしれない。

 そこで役立つのが、別売りとなっているグリップ(4,650円)だ。このグリップはDualSenseコントローラのデザインにインスパイアされているものだそうだが、装着するとホールド感が大きく高まる上に、ジョイスティックや各ボタンとの距離も適切になる。30分から1時間程度のゲームプレイならなくてもなんとかなるが、それ以上にがっつり本機でプレイしたいなら、装着しておいたほうがいいだろう。

 ただ、グリップの装着は本体の手前のネジ2本を外し、グリップに付属している長いネジを使い、合計4カ所に装着する必要がある。つまり外出先で用途やシーンに合わせて着脱することはほぼ考えていないということだろう(ドライバを常時持ち歩く習慣があるなら話は別だが……)。これは装着時の堅牢性とトレードオフだ。ちなみに筆者は多少の操作性を犠牲にしても非装着のスタイルが良い派。こういう小さいPCは何かしらを犠牲にして使うことこそが美学だと思うからだ。

そのまま手にすると指先で筐体をホールドする形となり、やや不安定で、長時間プレイでは疲れやすい
オプションのグリップはネジ止め式
背面にネジ止めしたところ
ホールド感が大きく向上する
中指、薬指、小指に力が入りやすくなるため、人差し指でトリガーを引きやすくなる
側面の空間もなくなり、ジョイスティックとの距離もいい塩梅に
ただし、グリップを装着した場合机に置いた時にバランスが取れなくなる

 もう1つのGPD WINシリーズのアイデンティティであるハードウェアQWERTYキーボードだが、親指だけの入力に特化した形状と配列で、表面が微妙に凸形状になっている。こうすることで指をおいた際にキーの位置を把握しやすく、押下時に隣接するキーの誤入力も抑えられる。

 なお、この親指入力に特化したキーボードという意味では「GPD WIN 4」も共通だが、GPD WIN 4はアイソレーション配列でフラットなキートップだった。筆者に「どちらが入力しやすいか」と聞かれれば、言うまでもなくGPD WIN Miniを指差す。GPD WIN 4のキーボードは短いID/パスワードや自動補完される定型文の最初の数文字の入力程度ならまったく困らないが、「数段落のメールの返信をこれで」とか「文章を書こう」という気にはならない。GPD WIN Miniなら「これなら書いてもいいかな」という気にはさせてくれる。

ハードウェアキーボード。キートップは凸形状で押しやすくなっている。GPD WIN 4などと比較しても抜群の使い心地だ
キーピッチは10mmといったところ

 キーボード奥に配置されたタッチパッドだが、さすがにサイズは「ミニ」だ。ただ、それでも光学式ポインタよりははるかに使い勝手は良い。なお、物理的な押下はできないので注意。左クリックはタップ、右クリックは2本指タップとなる。最大4本指のジェスチャーにも対応しているため、ユーザー自身が設定しながら活用されたい。

タッチパッドは約38×48mmといったところ。物理ボタンがないのがネックだが、3本指ジェスチャーなどは使える

インターフェイスやディスプレイ、スピーカー

 先述の通り、OCuLinkを省いて代わりにUSB 3.1を搭載した本機だが、それ以外のインターフェイスは従来と共通だ。まずはUSB4が1基搭載されており、同社のRadeon RX 7600M XT搭載の「GPD G1」をはじめ、さまざまなUSB4ドッキングステーションをサポートできる。

 USB4ならホットプラグできるし、ケーブルもそこそこの長さのものもあり、同時に本体への給電も可能なので、取り回しはOCuLinkと比較するとだいぶいい。デスクトップクラスのグラフィックス性能を携帯デバイスで実現できる。なお、もう1基のUSB Type-CはUSB 3.1(10Gbps)となっている。

 このほかA2レベルのmicroSDカードスロットを搭載しており、リード160MB/s、ライト120MB/sの速度が謳われている。今回Euro Truck Simulator 2ほか2つのゲームをmicroSDカード(Samsung EVO Plus)にインストールしてみたが、ゲームのロードなどでストレスを感じることはなかった。内蔵のM.2 SSD容量が不足した場合、ある程度補うことはできるだろう。

インターフェイスは背面に集約されている
microSDカードスロットは最大120MB/sの転送速度に対応。その上部がUSB 3.1だ

 続いてディスプレイだが、これに関しては先述の通りROG Allyと同じユニットが使われている。輝度は500cd/平方mと高く、直射日光下でなければ屋外でもある程度の視認性を確保できる。タッチ対応で、表面はGorilla Glass 6の採用で傷耐性が高くなっているほか、AF+AR処理の非光沢コーティングで映り込みも低減。フルHDであるため精細な表示が可能で、色味や品質、視野角に関してもまったく不満がないレベルだ。

 音に関しては「DTS:X Ultra」サウンドエフェクトに対応し、AACスーパーリニアデュアルスピーカーの採用が謳われている。さすがに低音や重低音までは鳴らず、高音の効果音が鳴り響くファイナルファンタジーXIVの戦闘シーンではBGMが負けがちにはなる。しかし音量に関しては十分確保されていて、本体サイズの割にはかなり頑張っている。

 なお使い勝手面でもう1つ述べておくと、本機はいわゆるInstantGo対応モデルだ。このためフタを閉じてサスペンドに入っても、プロセッサがある程度稼働しているため発熱も多めで、時々ファンも回転、カバンに入れておいたら熱くなることもあった。持ち運ぶ際は電源を落としておいたほうが無難だろう。

左側面にはなにもないが、滑り止めのシボ加工が印象的
右側面も同様
前面にはストラップホールがある点、ガジェット好きの心をくすぐる
本体底面

高性能プロセッサとメモリ

 GPD WIN Mini 2024は、AMDの最新Ryzen 8000シリーズプロセッサを採用しており、Zen4アーキテクチャを基にしており、Ryzen 7000シリーズのマイナーチェンジに当たるが、NPU「Ryzen AI」のクロックアップによりAI性能が向上しているのがトピック。ただ、現時点ではあまりゲームに生かせないので、主にGPU性能が注目となるだろう。なお、標準の状態ではTDPは15Wに設定されていた。

 メモリは32GBのLPDDR5メモリを搭載している。CPU内蔵のGPUは専用ビデオメモリがないため、メインメモリからの割当となる。そう考えると、もはやエントリー向けのビジネス向けノートで標準的となった16GBでも既に不十分で、32GBがスタンダードであるべきだ。そのため日本では16GBモデルが用意されていないのも十分頷ける。

 SSDに関してはM.2 2230フォームファクタであり、本機にはWDのSN740が採用されていた(試用機は512GB)。リード最大5,000MB/sと、フラグシップモデルと比較すると劣るが、ゲーム用途において不足に感じることはまずないだろう。

【表】試用機および比較機材の仕様
製品名GPD WIN Mini 2024MINISFORUM V3
CPURyzen 7 8840U
メモリLPDDR5 6,400MHz 32GBLPDDR5X 6,400MHz 32GB
SSD512GB1TB
ディスプレイ1,920×1,080ドット/120Hz表示対応7型2,560×1,600ドット/165Hz表示対応14型
OSWindows 11 HomeWindows 11 Pro
インターフェイスUSB4、USB 3.1 Type-C、USB 3.1、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2、UHS-I対応microSDカードスロット、3.5mm音声入出力USB4×2、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3、UHS-II対応SDカードスロット、3.5mm音声入出力、指紋センサー、VLink(DisplayPort Alt Mode入力対応USB Type-C)
Webカメラなし背面500万画素/前面200万画素(IRカメラ付き、Windows Hello対応)
バッテリ44.24Wh50.82Wh
本体サイズ/重量約168×109×26mm、約520g318×213.8×9.8mm、946g

 今回はベンチマークとして「PCMark 10」、「3DMark」、「Cinebench R23」、「ファイナルファンタジーXIV黄金のレガシー ベンチマーク」を用意した。比較用として同じCPUを搭載したMINISFORUMの「V3」の「Power Save」(TDP 15W)の結果を並べてある。

【グラフ1】PCMark 10の結果
【グラフ2】3DMark Time Spy
【グラフ3】3DMark Fire Strike
【グラフ4】3DMark Night Raid
【グラフ5】3DMark Wild Life
【グラフ6】Cinebench R23
【グラフ7】ファイナルファンタジーXIV黄金のレガシー ベンチマーク

 結果から分かる通り、GPD WIN MiniはMINISFORUM V3よりも大幅にフットプリントが小さく軽量であるにも関わらず、一部3Dのスコアが若干低いものの、ほぼ同等の性能を発揮した。7型のクラムシェルとしては驚異的と言っていい。ちなみにRyzen 8000世代は、20W以下の設定で性能を改善しているが、GPD WIN Miniのようなサイズが限られたようなデバイスでは効果が大きい。

 ゲームに関しては画質次第とはなるが、低~中プリセットであればAAAタイトルも十分にプレイ可能。Radeon Super ResolutionやAMD Fuild Motion Framesといった技術を駆使すれば、ある程度グラフィックスへの要求が高いタイトルも対応できそうだ。

 なおバッテリ駆動時間だが、輝度を40%に設定した上で、PCMark 10のModern Officeを計測したところ、残量6%まで5時間44分と出た。本体サイズを鑑みれば十分だし、今やどこでも小さなUSB PD充電器が利用できる時代なので、さほど困らないだろう。ゲームプレイ時の駆動時間は今回時間の関係で計測できいないが、公称値では重いゲームや作業では約2時間とされている。いずれにしても「息抜きでプレイする程度の時間ならば」と言ったところだろう。

これだけ小さいと熱や騒音はどう?

 こうした性能面よりも、発熱周りのほうが気になるユーザーも少なくないだろう。まず熱から言えば、本機は確かに熱い。しかし、強化プラスチック筐体を採用しているおかげで、熱が手に伝わりにくくなっている。また、先述の別売りグリップを使えば熱はほとんど伝わってこなくなるので、気になるユーザーはそちらを検討すると良い。

 一方、騒音面で気になるユーザーも少なくないだろう。小さい筐体で熱の問題を解消するために、デフォルトではアイドル時でさえも4,800rpmでファンを回しており、そこそこ甲高い音質も相まってそこそこうるさい。ゲーム中はさらに回転数が上がり、ゲームの効果音などにある程度かき消されるが、それでも耳につく。この状態では確かに本体は熱くならないが、もう少し熱を許容して静かな方が良いというユーザーも多いはずだ。

 GPD WIN Miniには「Motion Assistant」というサードパーティのユーティリティがプリインストールされているのだが、実はそういうユーザーにはこのユーティリティを活用してほしい。字面から想像できる通り、本来は本体内蔵のジャイロセンサーをコントローラとして使うためのユーティリティだが、1ページ目がCPUのTDPとファン回転速度の設定となっており、ユーザーが自由にカスタマイズできるのだ。

Motion Assistant

 このユーティリティのデフォルトでは、かなり騒音を抑えたファン速度制御カーブが設定されており、ファン制御をオンにするだけで、アイドル時/負荷時ともに騒音が大幅に抑えられた。旧モデルのGPD WIN Max 2などでも利用できるので、騒音が気になっているユーザーは試してみるとよい。

 また、CPUのTDPの設定もこのソフトから行なえるようになっている。ただし、GPD WIN MiniのTDP上限は20Wとなっており、ユーティリティ上で28Wに設定しても無意味だった。今回は時間の都合でCinebench R23のみ20Wのテストを行なってみたが、デフォルトの15Wから相応の性能向上が見て取れる格好だ。

【グラフ8】Cinebench R23の結果

ミニPCの夢は何度でも蘇るさ!

 2018年頃に始まった「UMPCの再起動」だが、この数年間GPD自身や競合も含め、製品もだんたんと大型化が進んできており、「皆さん結局使い勝手や性能重視になっていくのか。初心忘れてませんか……」という気は薄々していた。

中央が8型の「GPD WIN Max」。その後「GPD WIN Max 2」(右)が発表され、もはやUMPCとは呼べないようなサイズに
その点、GPD WIN Miniは初心に帰った印象
重ねてもその小ささは圧倒的
GPDの名作であるGPD Pocket 2(右)と比較してもフットプリントは小さい。GPD WIN Mini 2024のほうがさすがに厚さはあるが、性能は桁違いだ

 しかしGPDはその初心を忘れていなかったようだ。もちろん、初代ほどエントリープロセッサを採用した安価なガジェット、オモチャにはなりえないし、UMPCとしては軽い部類とは言ってもその初代からは140g重くなっている。しかしほとんどのゲームがプレイ可能となったので、GPD WIN Miniから得られる楽しさは当時の比ではないだろう。

 GPD WIN Miniは趣味性が強いPCではあるのだが、設定次第ではAAAタイトルもプレイ可能なので、実用性は初代から大きく上がっている。その上で機動性と自由度の高さも魅力的であり、バッグのサイズを意識せずに(それこそポケットに入れて)持ち運べる唯一無二の高性能マシンである。GPDには引き続きこのサイズ感でUMPCを出し続けてほしいと思うとともに、GPDとともにその夢を見続けたいユーザーなら投資し続けてほしいと切に願う。

完成の域に達したGPD WIN Mini 2024の実機をライブ配信で確認!【17日21時配信開始】

 ポータブルゲーミングPCとして1つの完成の域に達したGPD WIN Mini 2024をライブ配信で解説します。

 本稿の執筆者であり、ポータブルゲーミングPCを黎明期から追い続けるPC Watchのデスク劉が熱いレビューをお届け!